レキシツアー ~今回は遺跡にいけるのですか?~

もうちょっとキラキラしてよいですか! レキシのライブは楽しい。なかなか歌い出す気配を見せないMCの長さや、このまま朝を迎えるんじゃないかというくらい執拗に繰り返されるコール&レスポンスが楽しい。観客はもちろん、レキシネームを与えられたミュージシャンも、お館様ことレキシのおじちゃん自身もライブ を心から楽しんでる。その、聴き手も演者もみんなが音楽と日本の歴史を楽しんでるという、生き生きした<やり方>自体が、レキシの最大のメッセージになっているのではないかと思う。

赤坂BLITZで開催された東京公演もまた、くだらないユーモアが大好きなレキシの資質が全開になった、楽しく豊かなライブとなって いた。法螺貝のSEとともに軍旗をもって登場した彼は、いきなり「法螺貝、長い!」とツッコミ、「きらきら武士」のイントロにのせて、「どうもケビン・コスナーです」とあいさつし、「激戦のチケットを争奪してきた人たちですか?ビンタしてやりたいわ!」と笑顔で悪態をついた。「今日は1年の集大成ですからね。しつこいくらいやるからね」という宣言のあとで、ようやく<♪あなたは武士~>と歌い出すと、即完のチケットをゲットした1500人のお客さんは歓声をあげた。手を右に左に大きく振り、激しくジャンプし、全員で<♪武士 イン・ザ・スカイ>の大合唱。レキシが「なにこれ?最後の曲??」と戸惑うほどの盛り上がりをみせ、最後はみんなで武士を25回連呼し、ありったけの武士を吐き出した。「楽しくて仕方ないわ」とつぶやいたレキシは、曲が終わると、上手、下手、中央と3カ所に深々と頭を下げた。まるでクライマックスのようなムードだが、まだ1曲目……。

続く「大奥~ラビリンス~」では、ファンキーなダンスタイムに懐かしのMCハマーダンスが飛び出し、<♪Let's>と<♪ 忍者>のコール&レスポンスがだんだんミュートしていく「Let's 忍者」では、レキシの「おしゃれにして」というひと言にバンドが反応し、突然、4ビートになるなど、チームワークの良さも見せつけた。シムケンや美川憲一のモノマネでじらしながら、「強引なんだから!」の合図で曲がはじまる「ペリーダンシング」、「ドラえもん」の主題歌をアーバンソウル風に歌い上げてみせた「武士ワンダーランド」を経て、隙を見せると松山千春が顔をのぞかせる初期の名曲「真田記念日」へ。
「真田幸村じゃなく、俵万智さんに許しを乞う気持ち」で歌ったあと、となりのトロ遺跡も参加し、みんなで「古墳へGO!」。海援隊の「JODAN JODAN」風に、「KOFUN」のフリを全力でパフォームし、後半戦へ突入。ここで、したたる汗をふきながら、「ゲストを待つ空気に飲み込まれた」というレキシの紹介で入場したのが、チェックのネルシャツでエレキギターを携えた、Deyonná(仮)改め齋藤谷津衛門こと、おなじみのやっつん。
「すげーあおって、バカかよ! 見て見て! 泣いてるからね、オレ」というやついに、無理やり「やさしくなりたい」を歌わせつつ、彼を迎えてのロックンロールナンバー「姫君Shake!」では、曲の途中、MAXや林家三平、アニメ「タッチ」の主題歌を織りまぜながらの大盛り上がりとなった。レキシの2大(ボーイズ)ラブソング「妹子なぅ!」「LOVE弁慶」で観客の胸を高鳴らせ、いよいよオーラスへ。エモーショナルなバラードナンバー「墾田永年私財法」のイントロが鳴り響くと、レキシはやおら長渕剛の「乾杯」を歌い始める。「2日目から考えてた」というボケのあとで、再び「Let It Be」のメロディで「Re Ki Shi」を歌い出すと、客席も「Re Ki Shi」の大合唱となった。
ようやく真剣に歌いはじめると、ブレイクして「どうもありがとうございます。自分がいちばん楽しんでます」とあいさつし、最後は<♪永遠に/永遠に>と高らかに歌い上げ、本編は終了……のはずだったのだが、ここで「ちょっとキラキラが足りなかった。もうちょっとキラキラしてよいですか」と観客に投げかけ、まさかの本物のDeyonná(椎名林檎)が飛び入りで登場!おかっぱ頭に着物姿でステージに現れた椎名に、テンションあがりっぱなしだったはずの歓声が、一段と大きくなった。扇子で顔を隠しながら、恥ずかしそうに歌い、ジャンプする椎名とレキシの夢の共演に、会場の興奮は最高潮に達した。

アンコールでは、まず、ひとりで登場し、「ハニワニワ」を弾き語りで熱唱。そのままキーボードから離れず、隣接する赤坂ACTシアターの出演中の坂本龍一さんに敬意を表し、名曲「戦場のメリークリスマス」と、自身のオリジナル曲である「ホトトギス」を交互にプレイするサービスも見せた。
そして、会場中が一体となれるる「狩りから稲作へ」では、となりのトロ遺跡と東インド貿易会社マン(グローバー義和)も登場し、バンドセットとアコースティックセットの融合も実現。恒例の「INA HO!(稲穂)」のコール&レスポンスに続いて、高床式から高岡早紀→正岡子規→劇団四季→キャッツという定番の流れに入るまでに何度も寄り道をし、なぜかチャゲ&飛鳥の「SAY YES」で、締めるまで、1曲でなんと30分も費やし、この日、集まった全ての観客の笑顔にし、全14曲で3時間弱に及んだステージの幕は閉じた。