もう〜い〜くつ遺跡めぐると〜お正月?


新年早々、誤植?と疑われた方もいるかもしれないが、これは間違いなく、レキシこと池田貴史が、新木場Studio Coastのステージ上で述べた抱負である。

12月3日の札幌を皮切りに、全国8カ所9公演に及んだレキシツアー「もう〜い〜くつ遺跡めぐると〜お正月?」の東京公演2日目。レキシは今ツアーをもって、新段階に突入した。新段階といっても、「富士山の次は鏡餅ルック?」というような表面的なコスプレ変化ではない。もっと根本的な変化だ。これまでのライブと変わった点は、大きく分けると2つある。
1つ目は、ゲストアーティストを1組も呼ばなかったこと。レキシのワンマンライブと言えば、2011年5月に新代田FEVERで開催された初ワンマン以来、それが例え全国ツアーであっても、各地でのスペシャルゲストの登場が恒例であった。しかし、今回は、足軽先生(いとうせいこう)やシャカッチ(ハナレグミ)、齋藤八津衛門(やついいちろう)といった常連組も含め、ゲスト制度を完全に撤廃。これは、レキシにとって、大きな一歩だ。レキシは企画ものではなく、パーマネントなソロユニットとして、精力的かつ継続的に活動していくんだという宣言にも似た気持ちが込められているのではないかと感じた。また、今回のバンドは、健介さん角さん(G / 奥田健介 from NONA REEVES)と元気だせ!遣唐使(Key, Cho / 渡和久 from 風味堂)というお馴染みの2人に加え、御恩と奉公と正人(B / 鈴木正人 from LITTLE CREATURES)、伊藤に行くならヒロブミ(Dr / 伊藤大地 from SAKEROCK)というメンバーとなっていた。様々なアーティストのツアーでバンマスを務める鈴木正人の加入を含め、一ヶ月という長丁場となったツアーと、バンドとしてのさらなる多彩な発展を考慮した上での編成ではないかと思う。

ツアータイトル通り、「お正月」のBGMとともにスタートしたライブは、マライア・キャリー「恋人たちのクリスマス」から、淡谷のり子を軽く挟み、パワフルな歌い回しをみせたディスコナンバー「武士ワンダーランド」へとつながる。会場中が池田にあおられ指をキツネマークにして振り上げてそれに応える。さらに、ランニングマンやスキージャンプも飛び出したポップチューン「妹子なぅ」、SMAPの「SHAKE」やチャック・ベリーの「ジョニー・B.グッド」を引用してツイスト&シャウトを引き出したかと思えば、この曲でフィーチャリングされた齋藤摩羅衛門こと斉藤和義の「ずっと好きだったん」まで飛び出したロックンロール「姫君Shake!」と、4曲を続けて披露。オープニングから会場が1つになる怒涛の展開に、池田はおもむろにステージに座り込み、「東京、飛ばし過ぎや。オレ、もう無理や。休憩2時間くらいいるわ」と声を漏らした。観客から様々な声が飛ぶなか、「オレは聖徳太子か!」というレキシギャグを返すも、本当に疲れたのか寝転んでしまう池田……。やがて、ふいに起き上がり「この状況をどげんかせんといかんです」という言葉のあと、「それでは、聴いてください。川の流れのように」とお嬢の名曲を少しだけ歌い、5曲目に突入した。

最初のブロックでは観客のテンションを問答無用でアゲるアップテンポの楽曲を続けたが、池田と遣唐使のファルセットによるハモリから、スパイスの効いた短めのドラムソロをはさみ、4ビートへの変化もみせたアーバンソウル「どげんか遷都物語」からの4曲は、いつも通りに全力でふざけながらも、音楽的な豊かさや渋味を感じさせる構成となっていた。小気味のいいファンク・ビートから各プレイヤーのソロ回しによって少しずつ昂揚感をあおっていく「古墳へGO!」や、スタイリッシュで軽妙なグルーヴを感じさせてくれた「大奥」から、メンバー全員によるコーラスが煌めいた「クリスマスイブ」まで。途中、レキシの中の尾崎が暴れ出し、アントニオ猪木〜長嶋茂雄〜尾崎豊という流れで「自由っていったいなんだ〜い!」と叫んだり、伊藤を織田裕二に見立てて、「大地、忍者しよっ!!」と呼びかけたり、自身が出演しているCM「まるちゃん麺づくり」のフレーズが飛び出したり、スキャットがいつのまにか渡辺美里「マイレボリューション」になることもあったが、歌、コーラス、楽器、バンドと、純粋に演奏の質だけで人を感動させされる芸と技をたっぷりと堪能させてくれる内容となっていた。