「ギガアイシテル」
最初に映画主題歌のお話を頂いた時、“らくがき”と“歴史”を繋ぐものとして葛飾北斎とか狩野派とかを思い浮かべたのだけど、ファミリー向けの映画だしもう少し砕けた「分かりやすいテーマ」って何だろうと思い浮かんだのが、鳥獣戯画とか雪舟の涙で書いたネズミの話などでした。
鳥獣戯画は日本で初めての漫画と言われるくらい楽しい感じの絵で、カエルや兎とか動物が擬人化されてますよね。今でこそよくある発想かもしれないけど、当時これを思いついて描いた鳥羽僧正(諸説あり)はきっと超ワクワクしながら描いてたんじゃないかな、とか想像して構想を練っていました。
そんな時に、今回の映画の京極監督から「走り出せばあり得ない事だって起きる!これから大人になる人や新しいことにチャレンジしようとしている人の背中を押してくれるような曲」というメッセージを頂きました。色々試行錯誤していたある日、ハナレグミのタカシから興味深い話を聞いたんです。タカシが誰かから聞いた話なんですけど、夢だか前世なのか分からないんだけど何百年も前の記憶を持った人がいて、蔵に書物を納めた記憶があったんですって。それが気になって現世で実家の蔵をみるとそんな書物が出てきた…という事があって。
そんな話を聞いて、数百年とか経ったあと発見された何気ないもの…それが誰かにとってかけがえのないものになる。なんてこともあるのかなーと思ったんです。そこでふっと思い浮かんだのが、「キミの落書きもいつか誰かの宝物」というフレーズでした。
頑張って絵を描いて今は世に出ない人も、100年後1000年後にすごく評価されるということもあり得るかも。鳥獣戯画だって描いた本人はまさか何百年後に博物館で数時間待ちになるほど行列が出来るなんて思ってもみなかったんだろうなぁ、そんなことを想像しながら曲が出来ていきました。
怖がらずにはじめの一歩を踏み出しちゃえばきっとワクワク楽しいことが待ってる、そしてずっとやり続けてたらきっと宝物が見つかるぞ、そんなメッセージを込めて作りました。
「Takeda’〜アナザーレキシver.」
この「Takeda’」は前回のツアー、アナザーレキシのオープニングで披露したバージョンを新録し直したモノです。
「Takeda‘」はもともと「いろんなバージョンで出来るな」と思っていて、弾き語りバージョンとかを披露した事もあったんです。さらに、大きな文字で歌詞をスクリーンに写して心の内面や葛藤を歌っている…みたいなアレンジも前から構想があって。アナザーレキシツアーのテーマが普段よりも硬派なロックだったので、そこへぴったりハマった感じでしたね。
もともとはふざけた曲なので今回は最初はクールに、そして最後はエモーショナルに聴かせて「え⁈これ別の曲⁈」くらいに思わせようと思っていたのですが、やはり歌詞のバカバカしさには勝てず結局会場が笑いに包まれたのも今では良い思い出です。あー早くライブやりたい。